今回の本の紹介
帚木蓬生(ははきぎほうせい)さんの、安楽病棟という本。
深夜、引き出しに排尿する男性、お地蔵さんの帽子と前垂れを縫い続ける女性、気をつけの姿勢で寝る元近衛兵の男性、異食症で五百円硬貨がお腹に入ったままの女性、自分を23歳の独身だと思い込む女性……様々な症状の老人が暮らす痴呆病棟で起きた、相次ぐ患者の急死。理想の介護を実践する新任看護婦が気づいた衝撃の実験とは? 終末期医療の現状と問題点を鮮やかに描くミステリー!
適当に選んだ初めての作家さん。
・・・・以前よく行っていた図書館なのですが、変な人がいるんです。
なんかちょっと怖いというか。
特に実害を被ったとかではないのですが・・・(当時のママ友も彼のこと知っていました。やはりコワキモイと)
だからその図書館へはもうずっと行っていなかったんです。
だけどその日、近くまで行く用事もあり、ついでにささっと返してささっと新しい本借りよ~もうヤツも来てないかもしれないし!
なーんて気持ちで行ったら、やっぱり居て・・・
こりゃヤバイと思って目についた小説をぱぱっと借りたんです。
それが今回のこちらの本。
だって選んでる最中も、さっきまで違うエリアにいたのにわざわざこちらまで来てソーシャルディスタンスなんて関係ねぇってくらい接近してくるんです。
だから本当に適当に選んだ本なのでした。
個人的メモ
★看護婦はまず、誰よりも患者の傍にいる人です。患者の傍にいなくては看護は成立しません。看という字はどう書きますか。手と目から成り立っていますね。その二つで患者さんを護るのが看護です。
看護・・・大変な仕事ですね。確かに看護師さんの良し悪しって影響力ありますよね。直接メスをいれるわけではないけれど、看護師さんがしっかり目を見て話してくれて、手で触れてくれるだけで安心感マシマシですもん。
★手考足思(しゅこうそくし) 陶芸家河井寛次郎の言葉。手を動かして考え、自分の足で歩きながら思いをめぐらせる。
初めて知った言葉です。知識を頭に詰め込むだけでなく、実際に動いて実践することの大切さ。
大人になると難しいです。頭でっかちになりがち。大抵の事はやりながら上達していくものなんですけどね。
★賽の河原の石積み(さいのかわらのいしづみ)
報われない努力、徒労。
「賽の河原」とは、親よりも先に死んだ子供があの世で行く場所を指します。親より先に死んだ子はここで石積みをするのですが、いくら石を積み上げても鬼に壊されてしまいます。それでも子供は極楽浄土に行けるように再び石を積み重ねます。最終的には子供は石の塔を作る為に永遠と作業をすることになります。このことから「きりがないこと、無駄な努力」という意味になったそうです。
★レース中に脚を骨折した人気競走馬が安楽死の処分に遭った。馬は三本の脚で立つことはできるが、患肢の対側肢に蹄の病気が出て長くは生きられない。また、患肢に義肢を装着することも可能だが、装着可能になるまで患肢の治療に相当の日数がかかり、それまでの延命は困難である。だからそれを見越して、骨折した時点で殺してしまうのだろう。それをマーシィ・キリング(慈悲ゆえの殺害)とも呼ぶのだろう。
苦しみを取り除くための殺害・・・
感想
亡くなったおばぁちゃん達のことを思い出しました。
1人は施設に入る前からボケ始めていて、いきなりキレたり、孫のことも誰が誰なのか忘れかけてたり。でも身体は健康!
1人は痴呆やボケとは程遠く、死ぬ直前まで頭はしっかりしていました。でも最後のほうはおむつをしていました。頭がしっかりしている中、娘におむつを替えてもらう心情ってのはどうだったのかなぁ。
ボケてしまっていれば何とも思わず楽だったんじゃないか。いやでもやっぱり自分の子や、ましてや自分の事すら分からなくなる方が嫌か。
安楽死やマーシィキリングについて色々と考えさせられた話でした。
自分だったら、旦那さんだったら、両親だったら、ペットだったら。。。
こんな人におすすめ
・五十代、六十代の方。ちょうど両親が本に出てくる老人と同じくらいの年齢だと思うので、重なり合わせて読めるかも。
・生や死に対する概念とか、考え方とかに興味のある人も、読んだら面白いのかなぁと。
・痴呆、老化、看護、介護といった感じなので、十代・二十代の方とかは読んでもいまいちピンとこないかもしれません。あ、でも祖父母と同居しててとか、将来老人ホームとかで働きたい!っていう方。
★いくつ?
全体的な評価・・・★★★☆☆
読みやすさ・・・★★☆☆☆
登場人物が少し多くて大変でした。また、戦時中の話も多々出てきて、私にはちょっと想像するのが難しかったです。
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