今回の本の紹介
重松清さんの、十字架という作品。
いじめを止めなかった。ただ見ているだけだった。それは、「罪」なのですか――?
いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、僕の名前が書かれていた。あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう。そして、のこされた家族は、僕のことをゆるしてくれるだろうか。のこされた人々の魂の彷徨を描く長編小説。吉川英治文学賞受賞作。
「いじめ」「自殺」という重く暗い題材ですが、いじめの細かい描写も特になく、読み進めやすいと思います。
子供が中学生くらいになったら読ませたいなぁと思いました。
2016年に映画も公開されてたんですね。
小出恵介、木村文乃主演。
専ら映像より活字派ですが。
個人的メモ
・特に大きなきっかけや理由があったわけでない。選ばれた、という言い方がいちばん近いだろうか。なにも悪いことをしていない。ただ、選ばれてしまっただけだった。
そ、そんな・・・って感じですよね。親になった今は、やはり自分の子供が選ばれてしまったら・・・と思わずにはいられません。
・「おまえらにとっては、たまたま同じクラスになっただけのどうでもいい存在でも、親にとっては・・・・すべてなんだよ、取り替えが利かないんだよ」
そうなんだよ、本当に。普通の容姿、勉強も運動もパッとしない、これといった特技もない・・・そんな子だって誰かの子なんです。
感想
自分が中学生の時に読んでいたら、また違うことを思ったのかなぁなんて。
今は親になり、やはり親目線で読み進めてしまいますね。これから子供が中学生になったら・・・
大変だろうなぁ。自分自身、そんな嫌な中学校生活をしていたわけではなく、全体的に言えば結構エンジョイしていた方だと思いますが、じゃあ戻りたいかと聞かれれば全力でお断りです。
あんな狭い世界には戻りたくないです。でも中学生からしてみれば、学校は全てで。大人になって振り返ってみると、あぁなんて些細なことだったんだろうと思えることでも、当時は重大次項として捉えてたり。
ほんと、中学生ってのは難しいお年頃です。そんな彼らの親ももっと大変。
どこまで介入していいのか、そのラインもあいまい。超えても足りなくてもダメ。絶妙なところまで。
あとは本人が問題と向き合っていかないといけない。幼稚園児じゃない、もう中学生なんだから。
ある程度までは親も関わらないとだけど、その「ある程度」ってのが難しい。
私(親)には何でも話してほしいなぁ、なんて思うけど、私だって中学生の時、ある程度の秘め事はあったわけで・・・何から何まで親に相談なんてしてなかったし。
あぁ!やっぱり嫌だ嫌だ中学生時代は。
子供が中学生になるのがちょっと怖いです。
こんな人におすすめ
・只今絶賛中学生!の皆様をはじめ、小学校高学年、高校性のかた
・中学生を子供に持つ親世代のかた
・学校の先生
・人生において何か重荷を背負っているかた
その荷物との関わり方、付き合い方、少し軽くなるかもしれません。
★いくつ?
全体的な評価・・・★★★☆☆
読みやすさ・・・★★★★★
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