今回の本の紹介
重松清さんの、「ステップ」という作品。
結婚3年目に、30歳という若さで妻に先立たれた健一。妻の両親は娘の美紀を引き取ろうと申し出るが、健一は自分の手で育てることを決意する。妻の思い出が残る家で新たな生活に踏み出した健一と美紀は、さまざまな壁にぶつかりながらも歳月を重ねていく。
2020年7月に山田孝之主演で映画化もされたみたいです。
個人的に好きな俳優さんなので、ちょっと観てみたいなぁ。
一歳半の娘と父親との残された二人の成長物語。
重松清さんの作品は本当に泣ける。
ぐっときたセリフ&個人的メモ
・あたりまえすぎて気にも留めなかったことが、いまは、かけがえのないものだったのだとわかる。気づいたときには、もう取り戻せない。いや、もう取り戻せなくなったからこそ、それがとても大切なものだったのだと気づく。幸せとは、そういうものなのかもしれない。
・亡くなったひとを星にたとえるのは、昔のひとの優しさなのかもしれない。朋子は港の岸壁にたたずんで、遠ざかる僕たちを見送るわけではない。空にいる。手を伸ばしても届かないというだけで、ずっと見守ってくれているのだと、僕は信じている。
・子どもの言葉に、ほんとうの意味の「嘘」なんてほとんどない。たとえ事実や現実とは違うことを言ってしまったとしても、それを「夢」だと言い換えてやれば、たいがいのことは許せるじゃないか。
・みんなとうまくやっていくことがいちばん大切なんだと考えるひとより、一生懸命がんばることのほうを大事にするひとになってほしい。
・「つらい思い出を増やすのはかわいそうだろう」「つらくても・・・たいせつな思い出になります」
・悲しみや寂しさを早く消し去りたいと思っていたのは、いつ頃までだっただろう。いまは違う。悲しみや寂しさは、消し去ったり乗り越えたりするものではなく、付き合っていくものなのだと━誰かが、というのでなく、僕たちが生きてきた日々が、教えてくれた。
・悲しみを胸に抱いたまま生きていくのは、決して悲しいことではない。そのひとがいないという寂しさを感じる瞬間は、そのひとのいない寂しさすら忘れてしまった瞬間よりも、ほんとうは幸せなのかもしれない。
感想
ぐっときたセリフを読み返しただけで涙腺がうるっとしてきてしまいます。
どうしても「大切なもの」というのと、亡くなった愛犬がイコールになってしまい、鼻の奥がツンとしてきてしまいます。
愛犬が亡くなり、もうすぐ1年半。ようやくこの寂しさとうまく付き合っていけるようになってきた気がします。今では家族と笑いながら愛犬の話ができるようになったのはよかったなと思います。
まさに、つらくても大切な思い出です。
今回の小説にもぐっとくるセリフが多くて、読んでよかった!と思える作品でした。
こんな人におすすめ
・家族愛溢れるお話が読みたい方
・感動して泣きたい話が読みたい方
・父子家庭の方
★いくつ?
全体的な評価・・・★★★★★
読みやすさ・・・★★★★★
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