ママはきみを殺したかもしれない 樋口美沙緒

読書

今回の本の紹介

樋口美沙緒さんの、「ママはきみを殺したかもしれない」という作品です。

ショッキングというかインパクトのあるタイトルに惹かれました。

殺したはずの息子が、目の前に──。今度こそ、私は“いいママ”になる。仕事もプライドも捨て、狂おしいほどの愛情を注いだ先にあるものは何か。無償の愛とは?母性とは?息もつかせぬ衝撃作。母親失格と気づいたとき“ママ”をやり直せるなら、あなたは、何を犠牲にしますか?目標としていた賞を受賞し、脚本家として活躍中の美汐。だが、彼女の心は晴れない。小学校から呼び出され、息子・悠を「支援クラス」に通わせることになったからだ。ある日、美汐は手に負えない悠の首を絞めかけ、そのまま気絶する。意識が戻ると、悠を保育園に預ける初日の朝だった。神様がやり直しをさせてくれる! 美汐は、理想のママになろうと奮闘するが──。

ぐっときたセリフ&個人的メモ

・こんなにも強く、自分以外の誰かを愛しく思うことなんて、一生涯ないだろう。この子のためならいつだって死ねる。一秒の迷いもなく死ねる。でも、この子のために死んではいけない。

・我が子はかわいいのに、頭の片隅に、憎いという気持ちがちらつく。愛しているのに、思いどおりにならないことが続くと、放り出したくなる。こんな悪魔は私だけだろうか?

・「いいママ」になろうという努力は、そんなに軽く見えるものだろうか。仕事をしていないと、人間としての価値は劣るとでも?それとも、ママである以上、「いいママ」でいることなんて当たり前なのだから、そのためにしているこはすべて、特別な努力じゃないように見えるのか。

・首を絞めるつもりはなかった。けれど、もしあのまま私が悠を殺していても、私は驚かない。私はいつでも、ぎりぎりの縁に立てる。子どもを愛する場所から、子どもを殺せる縁へ、気を付けなければどんなときでも、一足飛びに行くことができる。「たかだか」「ほんの些細な」・・・ちっぽけな不安と孤独が、私の手に暴力を与えようとする。

感想

上記の言葉が本当にぐさっときます。本当、そうだよなと。まさにアンビヴァレンスってこういうことなんじゃ?と思いますね。母になってからはこういう、育児ベースの小説がすごく好きになりました。言いたいことを代弁してくれている気がしてスッキリするというかモヤっとしたのが晴れるというか。そして最終的には「わたしも育児、がんばろう」と思えます。だって今は今しかないんだから。

こんな人におすすめ

・育児ストレス抱えている方

・育児中の方

・妊娠中の方

・子育てに悩みを抱えている方

★いくつ?

全体的評価・・・★★★☆☆

読みやすさ・・・★★★★★

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