今回の本の紹介
小手鞠るいさんの、「瞳の中の幸福」という作品です。
いままでは、少しだけさびしかった。でも今は、幸せの意味を知ってる。
金色の目をした小さな「幸福」が教えてくれたこととは――。
東京でカタログ雑誌の副編集長をしている、妃斗美(ひとみ)。
長く付き合ってきた恋人から婚約を破棄された過去を持つ彼女は、
その後、35歳になるまで他の人とは恋愛せずに生きてきた。
「姉貴もそろそろ結婚しないと、薹(とう)が立ってくるぞ」
実家で弟に心ない言葉をかけられ、
やりきれない思いをかかえながら東京に戻ってきた妃斗美の目に留まったのは、
不動産屋の「お買い得な一軒家有り」という貼り紙だった。
「家さえあれば、ひとりでも」
突然、そんな思いにとりつかれた妃斗美は、理想の家を手に入れるために動きはじめる。
保証人問題など波乱のすえ、やっとのことで家を手に入れた途端、
天から降ってくるように訪れたのは、最高のパートナー、猫との出会いだった。
猫は、彼女に何を与え、何を奪っていったのか。
幸せの意味を問い直す、傑作書き下ろし長編。
ぐっときたセリフ&個人的メモ
・過去を書き換えることはできない。だけど、過去から学ぶことならできる。過去を生かすことも、輝かせることも。現在をどう生きるかによって、過去は明るくも暗くもなる。
・互いに互いを理解し合おうなんて、そんなこと、はなから思わないこと。人と人は永遠に理解し合えない。人が唯一、理解できるのは自分だけです。むしろ相手のことをよく知らない方が、恋愛はうまくいく。相手のことを何もかも知ってしまったら、恋愛しようなんて思うはずがないでしょ。
・ふたりで幸せに生きていくためには、まずはひとりでこっそり幸せに生きることだ。
・ふたりは見つめ合ったらいけないの。ふたりでいしょに、何か別の同じものを見つめているのがいいの。視線を交わらせるのではなくて、ふたりの視線が平行して、まっすぐに別の何かに向かっている状態が望ましいの。相手を見るのではなくて、彼の見ているものをあなたも見るのよ。あなたの見ているものを彼も見るの。
・守られることじゃなくて、守ることで、私は強く優しくなれるし、幸せになれるの。
・幸福とは、初めから、失われる運命にあるものなのだ。幸福とは、薄皮一枚で、悲しみにつながっている。幸せな生活とは、まるで薄氷の上を歩いているような危ういものだったのだ。だからこそ、幸福はかけがえのないものなのだし、永遠につづかないからこそ、一瞬一瞬がきらめいている。安定した幸福なんて、本当はどこにもなくて、幸福はぎりぎりのところで保たれている綱渡りのようなもの。だからこそ、あんなに美しいのだ。
感想
小手鞠るいさん、恐らく初めて読む作家さん。なかなか好きかも~!今度いくつか借りてこようと思います!今回けっこうぐっとくるセリフが多かったです。最近はこういった響く言葉がある小説が好きです。ストーリー自体が面白いのも好きだけれど、じーんと胸に来る名言というか、本当にそうだよな、と思わせるような小説が最近のお好み!
こんな人におすすめ
・猫や犬を飼っている人
・将来、動物を飼いたいと思っている人
・「幸せとは」について考えたい方
★いくつ?
全体的評価・・・★★★★★
読みやすさ・・・★★★★★
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