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レジデンス 小野寺史

学校では成績優秀な反面、夜な夜なひったくりを行っている中学生・望。望の小学生の時の同級生で夜は自転車泥棒に暴行を働いている弓矢とその異母兄・充也。就職活動前に事故にあったことで就職できなくなってしまったフリーターの根岸。 ある晩根岸が充也の元彼女を刺殺、時同じくして弓矢は暴行した自転車泥棒から反撃にあう。 弓矢の暴行シーンに居合わせた充也と望はどんな行動に出るのか……。 湾岸に立つマンション「湊レジデンス」を舞台に錯綜する"衝動"と"本性"を辛辣な視線で描いた群像劇。
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未来 湊かなえ

こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。 送り主は未来の自分だという……。手紙には「わたしがあなたに手紙を書く事にしたのは、あなたの未来は、希望に満ちた、暖かいものである事を伝えたかったからです。」と書かれている。当時父を亡くし、時折人形のようになってしまう母親と二人暮らしで、とても「いい家庭環境」とは言えない暮らしをしていた章子。それでも未来からの手紙を信じ、今ある困難に立ち向かっていく。一方、あまり関わりのないクラスメイト、亜里沙も未来からの手紙を受け取っていた。彼女もまた不運な家庭環境下で暮らしていた。
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スイート・ホーム 原田マハ

幸せのレシピ。 隠し味は、誰かを大切に想う気持ち――。 舞台は阪急沿線の小さな洋菓子店。 頑張るあなたに元気をくれる、 とびきり温かな絆の物語。 香田陽皆は、雑貨店に勤める引っ込み思案な28歳。 地元で愛される小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、 腕利きだけれど不器用なパティシエの父、明るい「看板娘」の母、 華やかで積極的な性格の妹との4人暮らしだ。 ある男性に恋心を抱いている陽皆だが、なかなか想いを告げられず……。 さりげない毎日に潜むたしかな幸せを掬い上げた、 心にあたたかく染み入る珠玉の連作短編集。
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その女アレックス ピエール・ルメートル

おまえが死ぬのを見たいー男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが・・・・しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。
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風が強く吹いている 三浦しをん

箱根駅伝を走りたいーそんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何?走るってどういうことなんだ?十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きるきこと)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく・・・・・・風を感じて、走れ!「速く」ではなく「強く」ー純度100%の疾走青春小説。
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さよならの向う側 I love you 清水晴木

「あなたなら『I Love You』をどう訳しますか?」 死んだ後、最後に一日だけ現世に戻り、 会いたい人に会える時間が与えられる不思議な場所、 『さよならの向う側』を訪れた四人の男女。 会えるのは自分が死んだことを知らない人だけ、 という困難なルールのある中、 案内人に導かれ、彼らの選んだ最後の再会とは……? さまざまな人たちの最後の再会を描く、 『生きる』ことにまっすぐ向き合った愛の物語――。
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すべてあなたのためだから 武内昌美

中学受験があぶりだす、母のエゴと娘の闇。 良子は夫と小学4年生の娘・菜摘と暮らす、ごく平凡な主婦。何事にも消極的な我が子の性格に少々不満はあるものの穏やかな日々を送っていた。 優秀な娘を持つセレブなママ友・麗香は良子の憧れの存在でもある。彼女の勧めで菜摘は中学受験に挑戦することに。麗香の娘・鈴香と同じ塾に通えることに喜び勉強に励むと、菜摘は意外な才能を開花させ、39しかなかった偏差値をみるみる上げていったのだ。 我が子の可能性に舞い上がった良子は麗香に菜摘の成績をさりげなく自慢する。すると麗香の態度は一変、良子を無視。 私と仲良くしていたのは、愚かな母娘を見て優越感に浸りたかっただけ……。これまでの憧れと信頼の深さゆえに、そう悟った良子の反動は大きかった。麗香を見返す。成績を伸ばし鈴香に勝つことこそ、菜摘の将来のため。決意した良子は娘に勉強を強い、その教育熱は次第にエスカレートしていく。やがてそれは思いもよらぬ悲劇を招くのだった。 「どこかの家庭で今まさに起きているのでは」と思わせる、リアルな恐怖が読者の心に爪痕を残す衝撃作!
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ラッシュライフ 伊坂幸太郎

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
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瞳の中の幸福 小手鞠るい

いままでは、少しだけさびしかった。でも今は、幸せの意味を知ってる。 金色の目をした小さな「幸福」が教えてくれたこととは――。 東京でカタログ雑誌の副編集長をしている、妃斗美(ひとみ)。 長く付き合ってきた恋人から婚約を破棄された過去を持つ彼女は、 その後、35歳になるまで他の人とは恋愛せずに生きてきた。 「姉貴もそろそろ結婚しないと、薹(とう)が立ってくるぞ」 実家で弟に心ない言葉をかけられ、 やりきれない思いをかかえながら東京に戻ってきた妃斗美の目に留まったのは、 不動産屋の「お買い得な一軒家有り」という貼り紙だった。 「家さえあれば、ひとりでも」 突然、そんな思いにとりつかれた妃斗美は、理想の家を手に入れるために動きはじめる。 保証人問題など波乱のすえ、やっとのことで家を手に入れた途端、 天から降ってくるように訪れたのは、最高のパートナー、猫との出会いだった。 猫は、彼女に何を与え、何を奪っていったのか。 幸せの意味を問い直す、傑作書き下ろし長編。
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道づれの猫 唯川恵

ふり返れば、いつもかたわらに猫がいた。離婚して傷ついた時、肉親を亡くした時、家庭のある男を愛した時、人生の様々な場面で猫に救われてきた女性たちの心洗われる七つの物語。帰省するのはいつぶりだろう。大学進学を機に上京して十四年、忙しさにかまけて実家から足が遠のいていた私は、新幹線で金沢に向かっていた。まもなく旅立つであろうミャアを見送るために──。(「ミャアの通り道」)